畳の縁(へり)から歴史を学ぶ

何気なく使っている畳に、歴史があるって知っていましたか?そのなかでも、畳の縁(へり)からたくさんのことを読み解きます。

畳の歴史

畳は、日本を代表する伝統的な床材です。原料の「い草」と「畳縁(たたみべり)」を縫い付けて作られています。

畳縁とは、畳の長辺にそって、つけられた布のことです。畳表の角を保護し、畳と畳の間に、隙間がないようにする役目をはたしているのをご存知でしたか?畳縁には、無地や柄が入っているものなどたくさんの種類があり、現代ではキャラクターやポップな柄も多く、親しみやすく作られています。昔の畳縁にも柄があり、カラフルなものほど高級とされてきました。

畳の起源は縄文時代。稲わらを敷いて生活していたことが起源となり、平安時代には、貴重品とされ、天皇や貴族の家で使われていたそうです。身分によって、大きさや畳縁の色が異なり、もっとも格式の高い繧繝縁(うんげんべり)は、天皇や上皇、皇后などが用いるものとされました。わかりやすく言えば、ひな人形が座っている畳が、繧繝縁です。

平安時代の貴族は、畳を部屋の一部に、寝具として敷いていたとされ、鎌倉時代から室町時代に茶室が造られるようになったことで、現代のように、部屋全体に畳を敷くかたちになったそうです。江戸時代中期には庶民に普及し、武家社会で家紋入りの紋縁(もんべり)が使われるようになりました。

時代とともに形を変え現在も受け継がれている畳は、歴史を感じることができる日本の伝統的な文化といえるでしょう。

畳縁を踏んではいけない理由

子供の頃、「畳の縁(へり)は踏んだらダメよ」と注意された経験はありませんか?どうして踏んではダメなのか、理由はわからないという方もいらっしゃることでしょう。

以下に、おもな理由を紹介していきます。

武家のマナー

家紋入りの、紋縁(もんべり)が武士の家で流行った江戸時代。家紋は家の権威を表す象徴のため、踏むことはマナー違反となり、タブーとされています。

攻撃を防ぐ

武士の時代は、敵が床下に潜んでいることもありました。畳の縁を踏むと重みで床にわずかな隙間ができ、隙間から家の中の光が床下にもれることで敵から攻撃されてしまう恐れがあります。そのことから、自分たちの身を守るために、畳縁は踏まないとされてきました。

礼儀作法

和室では奥側が上座、出入り口に近いほうが下座となり、畳縁にはその境界線の役割があります。そのため、畳縁を踏むと上座に踏み入れたとみなされ、上座にいる目上の方に対して失礼だとされています。

また、畳縁を踏むと傷みやすいためや、つまずいて転倒しないようにという理由もあります。
時代を超えて変化している畳ですが、現在でもその作法は重視され、日本の心が受け継がれています。

まとめ

昔から日本に伝わる畳、その脇役のような畳縁ですが立派な歴史が隠されていました。お家の畳縁はどういう模様か、思わず見てみたという方も多いはず。

現在では、おしゃれな畳縁も多くあり、今の生活様式に即した形に変化しています。ご自身の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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